私ども河野醸造の味噌は創業より使われている杉桶を使用し、
自然の温度で熟成させた天然醸造の味噌です。
代々守られてきた手仕事の技の数々が、コクのある香り高い味噌に仕上げます。



 1.蒸し米

味噌造りは精米から始まります。
精米を終えた米は、洗米の後一晩浸漬され、
甑(こしき)で約40分間蒸されます。

今では自動で米を蒸す機械を使うところが増えていますが、私どもでは目の届くところで品質を第一に造りたいという考えから、蒸米の状態を見ながら蔵人が少しずつ丁寧に甑にかけていきます。  







 2.麹づくり

蒸しあがった米を蔵人達が手作業で冷やし、米の塊をほぐし、麹菌を米の一粒一粒まで着くように丁寧にまぶし、麹室(むろ)へ移します。

麹室では職人達が米の塊を何度も手を入れながら一粒一粒ほぐしてやり、 2日かけて味噌作りに最適な蛋白分解酵素の強い麹を作り上げます。
(麹室は麹の生育が最も良い状態、温度30度、湿度90%に保たれた蒸し暑い部屋です。)
出来上がった麹を常温まで冷まし、味噌作りに備えます。

「味噌造りは麹造り」と言われるほど重要なこの麹造り。
機械に頼ることなく、蔵人が丁寧に手を使う事で肌理の細かな麹が出来上がります。




 3.仕込み


麹が出来上がると、仕込みの始まりです。
一晩水に浸しておいた大豆を蒸したものに、麹と塩を混ぜ合わせます。
混ざり具合を確かめるため、一度に多くを混ぜ合わせるのではなく、少しずつ混ぜ合わせます。

全て機械で造るようなことはせず、常に蔵人の目が行き届くように仕込む事でまんべんなく混ざり、その後の発酵もゆるやかに始まります。

これを少量ずつ擂り砕き、創業より使われている杉桶へ入れ、代々が使ってきた石の重石を乗せ仕込が終わります。





 4.発酵・熟成

 私どもの蔵では創業当時の土蔵で「天然醸造」と呼ばれる昔ながらの製法で味噌を造ります。
これは仕込まれた味噌が10ヶ月~1年かけて自然の温度でゆっくりと発酵・熟成を行う昔ながらの伝統製法です。

 一度仕込んでからそのままにするのではなく、発酵・熟成中も蔵人が香りをかぎ、常に状態を見ながらおよそ半年後、蔵人達が専用のスコップを使い一度掘り出し、また別の木桶に入れ替える「転地返し」と呼ばれる作業を行います。

 時間と手間、蔵人の感が必要な製法ですが、ゆっくりと発酵するため、塩角がとれたまろやかでやわらかい味の味噌を造ることができます。

 今では効率を優先させるために、人工的に30℃~35℃の温度に調整した部屋で、早いものでは3ヶ月で発酵・熟成を終わらせます。この方法は「速醸法」と呼ばれています。